城崎にて

城崎にて

 「山の手線に跳ね飛ばされて怪我をした、その後養生に、一人で但馬の城崎温泉へ出掛けた。」この書き出しで始まるのが志賀直哉の『城崎にて』だ。高校生の時に現代文の授業でこれを扱った以来ずっと城崎温泉が気になっていた。高校生の時に現代文の授業でこれを学習して以来ずっと城崎温泉が気になっていた。高校生の当時Googleマップで城崎温泉がどこにあるかを調べたときに「遠すぎ」と思ったことを覚えている。これまで近くに立ち寄ることもなかったが、2024年の大晦日に訪れる機会を得たので行ってきた。

 『城崎にて』では温泉の描写はほとんどない。それでもこの物語は好きだ。串が刺さったネズミに子供が石を投げている描写、その気は全くなかったのに投げた石がイモリに偶然当たりそれを殺してしまった描写がある。電車に跳ねられてもなお生きている自分と必死で生きようとしているのに偶然の死に出会ってしまう動物の対比がとても心に残っている。作中でも生きている自分と死んでしまった動物の間にはそう大きな差はないとかいてある。

 城崎温泉は外湯が7つある。塩化物泉でとても気持ちいい。手についた温泉を少し舐めてみると海の近くだからなのかそれなりにしょっぱい。一泊しかできなかったので3つしか入れなかったがどれも雰囲気が全く違っていて楽しかった。温泉宿では雨や雪の時のために傘が用意されている。それぞれの宿に泊まった人たち傘を持って出歩き、めいめいの行き先に旅館の名前が入った傘を忘れてあるのが印象的だった。それから冬の城崎ではカニが有名なのでそれをたくさん食べた。今まで記憶している中では一番美味しかった。志賀直哉を感じるほどのんびりした時間はなかったが行ってよかったと思える思い出がまたひとつ増えた。

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