分からないこと、知らないこと。

わからないこと、知らないこと。

 能登の一番先っちょまで行った。ついた時にはもうほとんど日も沈んでいた。車を停めるところは「道の駅狼煙」だった。狼煙は元々緊急性の高い場合に草よりも狼の糞を燃やすことでより濃く黒い煙を得るというところから来ているという話を聞いた。とっても耳寄りな話だ。こういう話を聞くとそんなことを初めてやろうと思ったり発見したのは誰だろうかと知り得ないその誰かに想いを馳せたりする。情報を早く伝達しようとするのに煙を上げようという発想はなんとなく理解できる。しかし、より伝達能力の高いものを求めた末に狼のうんこを燃やそうという発想はついていきかねる。グリーンランドやアラスカにある海鳥をアザラシの中に詰め込んで地中に埋めるキビヤックも、海辺に転がっているナマコを美味しそうと思う思考回路もなかなか理解できない。少なくとも僕には。

 10月の初めに訪れた奥能登の日本海は全然荒れていなかった。後日調べてみると、日本海が荒れるのは冬だけで10月のこの時期は穏やかだった。後から知ったことだった。日本海というと一年中荒れているという幻想を抱いていた。香川県育ちで一年中穏やかな瀬戸内海に慣れている私は、かなり前から日本海は年中荒れているコワい海だと思っていた。四半世紀生きているのにこんなことも知らない自分に匕箸を失った。ふらふらと写真を撮っていてもこういうふうに気づきを与えてくれる写真はスゴい。

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